PMPの期限|期限は2本ある。3年のあとの1年で、まだ戻れる

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PMPを取ったあと、ふと不安になる瞬間があります。

この資格、いつまで有効なんだろう。

調べると「3年」という数字はすぐ出てきます。ですがその先、3年を過ぎたら何が起きるのかになると、日本語の情報はぱたりと少なくなります。多くは「失効したら再受験」の一行で終わっています。

本当にそうなら、期限を1日でも過ぎた瞬間に、あの試験をもう一度受け直すことになります。受験料も、勉強時間も、もう一度です。

結論から書きます。そうはなりません。

PMIが公開している公式のCCRハンドブックを読むと、期限は1本ではなく2本あります。この記事でお渡しするのは、その2本目の存在と、そこに入ったときの正確な扱いです。

期限は2本ある。1本目で切れても、2本目までは戻れる

覚えるのはこれだけです。

猶予の1年は、次の3年からの前借り。

PMPのサイクルは合格した日から3年です。ここが1本目の期限。この日までに60 PDUを集めて更新料を払えば、何ごともなく次の3年に進みます。

ですが、間に合わなかったとしても、その場で資格が消えるわけではありません。自動的に「サスペンション」という状態に移り、そこからさらに1年あります。これが2本目の期限です。

この1年のあいだに必要なPDUを集めて更新手続きを終えれば、試験を受け直すことなく元の状態に戻れます。

ただし、この1年はおまけではありません。次の3年から前借りしています。なぜそう言い切れるのかを含めて、根拠を3つ挙げます。

根拠1:公式が定めている状態は、3つある

まず、PMIが公式に公開しているCCRハンドブック(2026年4月更新版)を見ます。ここには資格の状態が3つ定義されています。

状態 いつそうなるか そのとき何ができるか
Active
(有効)
合格日から3年のサイクル内で、60 PDUの取得と更新料の支払いを終えている PMPを名乗れる。認定レジストリにも掲載される
Suspended
(保留)
サイクル内に要件を満たせなかった。期間は1年(12ヶ月) PMPを名乗れない。ただしPDUの取得と更新手続きは、この期間中に行える
Expired
(失効)
サスペンションの1年が過ぎても更新が完了しなかった PDUの提出ができなくなり、資格保有者ではなくなる

ハンドブックの原文には、Expiredについてこう書かれています。

復帰するには、新たに申請を行い、所定の費用を支払い、試験を受け直すことが必要になります。

「再受験」が登場するのは、ここだけです。3年の期限を過ぎた時点ではなく、そこからさらに1年が過ぎたあとの話でした。

日本語の記事が「失効=再受験」と短くまとめてしまうのは、この2段階が1段階に潰れているからだと思います。過ぎた直後の人と、1年以上放置した人とでは、やるべきことがまったく違います。

根拠2:猶予の1年は、次のサイクルと重なっている

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

「1年の猶予がある」と聞くと、期限が3年から4年に延びたように感じます。そうではありません。

ハンドブックにはこう書かれています。

サスペンション状態からActiveに復帰しても、次のCCRサイクルの日付は変わりません。サスペンション期間は、次のサイクルの期間と重なっています。

つまり、次の3年はすでに始まっているのです。あなたがサスペンション中にPDUを集めているあいだも、次のサイクルの時計は動き続けています。

数字にするとこうなります。

サスペンションを何ヶ月使ったか 復帰した時点で、次のサイクルに残っている期間
0ヶ月(期限内に完了) 3年(36ヶ月)
6ヶ月 2年6ヶ月(30ヶ月)
12ヶ月(ぎりぎりで復帰) 2年(24ヶ月)

1年を使い切って復帰した人は、戻った瞬間から、2年で次の60 PDUを集めることになります。3年でも足りなかった人が、次は2年です。

ここが怖いところで、いちばん苦しいのは切れた瞬間ではなく、戻った直後です。「なんとか間に合った」と安心したところに、短くなったサイクルが待っています。

だから「1年あるから大丈夫」ではなく、「借りた分だけ、次が短くなる」と考えたほうが実態に合っています。使うとしても、できるだけ早く返す。それが猶予の正しい使い方です。

根拠3:サスペンション中は、PMPを名乗れない

もうひとつ、見落とされがちな制限があります。ハンドブックの原文です。

この期間中、あなたは資格保有者を名乗ること、および資格の呼称を使用することができません。

資格そのものは残っているのに、名乗る権利だけが止まるという状態です。具体的には、こういうところに影響します。

  • 履歴書・職務経歴書 — サスペンション中は「PMP取得」と書けません
  • 名刺やメール署名 — 名前のうしろのPMPを外す必要があります
  • 社内の資格手当 — 会社が有効性を確認する仕組みなら、影響が出る可能性があります

「1年あるなら急がなくていい」と思いかけた人は、ここで考え直すことになると思います。転職活動や社内の申請と重なると、猶予は猶予として機能しません。

逆に言えば、名乗る予定が当面ないなら、慌てて数字合わせをするより、次のサイクルまで見据えて計画を立て直すほうが賢いという判断もあり得ます。どちらを選ぶにしても、名乗れないという事実を知ったうえで決めたいところです。

あわせて知っておきたい、期限まわりの細かい話

「期限」という言葉で調べていると、性質の違うものが混ざって出てきます。整理しておきます。

  • 更新料の支払期限は、サイクル終了日から90日以内 — PDUを満たすのとは別の締め切りです。PDUが揃っていても、支払いを忘れれば要件を満たしたことになりません
  • PDUの繰り越しについて、現行のハンドブックには記載がありません — 「余分に取れば次に回せる」と考えて計画するのは危険です。判断に迷う場合はmyPMIの表示で確認してください
  • 監査に選ばれる可能性がある — 一定の割合の保有者がランダムに選ばれます。選ばれた場合、更新は監査を通過してからです。証拠書類はサイクル終了後18ヶ月は保管しておくようハンドブックに書かれています
  • 「受験資格の期限」は別の話 — 受験申請が承認されてから試験を受けるまでの期限は、CCRハンドブックではなく受験用の別文書の管轄です。更新の期限とは無関係なので、混ぜて調べると混乱します
  • やむを得ない事情の窓口がある — ハンドブックには、更新手続きを完了できない事情がある場合はカスタマーケアに連絡するようにと明記されています。個別に審査されます。病気や家庭の事情で動けなかった人は、諦める前にここです

更新料そのものの金額と、会員になるべきかどうかの判断は、別の記事で詳しく書いています。

2本の期限が頭に入ると、更新は怖くなくなる

——今までのあなた。「PMPって、たしか3年だったよな」と思いながら、正確な日付は思い出せない。CCRSを開くのが少し億劫で、そのうち確認しようと思ったまま数ヶ月が経っている。

そこから先のあなたは、こうなります。

カレンダーに2つの日付が入っています。サイクル終了日と、その1年後。どちらも自分で確認して書き込んだものです。

期限の半年前、ふとCCRSを開きます。数字を見て、こうつぶやきます。

「あと11 PDU。Ways of Workingが足りてないから、読む本を変えよう」

足りないことは、早く分かれば予定に変わります。遅く分かるから、事故になるのです。

正直に書くと、私自身がまだ1周目の途中です。この記事を書いている時点で49 PDU。残り11です。しかも内訳を見るとWays of Workingが4しかなく、このまま同じ種類の本を読み続けても要件を満たせません。

失効させた経験があってこの記事を書いているのではありません。間に合うかどうかの当事者だから、公式を最後まで読みました。読んでみて、いちばん驚いたのが「戻った直後がいちばん短い」という前借りの構造でした。

今日、自分のサイクル終了日を確認してください

最後に、5分で終わることを書きます。

myPMIのダッシュボードにログインして、自分のCCRサイクルの終了日を見てください。PMPを取った日から3年後の日付です。記憶に頼らず、画面で確かめます。

見たら、そのまま2つカレンダーに入れます。

  • サイクル終了日 — 1本目の期限
  • その1年後 — 2本目の期限。ここを越えると試験からやり直しになります

ついでに、PDUの内訳も見ておいてください。合計だけ足りていても、分野の配分で引っかかることがあります。PMPの60 PDUは、Educationが最低35、うちWays of Working・Power Skills・Business Acumenがそれぞれ最低8ずつと決まっています(残り11は任意の分野で構いません)。私が引っかかりかけたのは、まさにここでした。

もう一度だけ書いておきます。

猶予の1年は、次の3年からの前借り。

2本目の期限があると知ることは、安心するためではなく、1本目で終わらせるためにあります。今日、日付を確認するところからで十分です。


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参考文献・出典

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