PMPの経験の書き方|書くのは、成果物ではなく「あなたがやった作業」

PMP・プロジェクトマネジメント

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「PMP 経験 書き方」で検索して、ここにたどり着いたのだと思います。

受験資格は満たしている。実務経験も足りている。それなのに、申請フォームの経験欄で手が止まる。カーソルだけが点滅している。何を書けば通るのかが、どこにも書いていない。

職務経歴書を書くつもりで始めた人ほど、ここで詰まります。転職用の職務経歴書なら、担当した案件の規模と、作ったものと、達成した数字を書けば形になります。ですがその要領で書き進めると、途中で手が止まります。書いても書いても、なんだか違う気がしてくる。

違和感の正体は、はっきりしています。PMPの経験欄は、あなたが何を作ったかを聞いていません。

この記事でお渡しするのは、例文のコピーではありません。何を書けばいいのかが自分で決まる、材料の選び方です。

書くのは、成果物ではなく、あなたがやった作業

覚えるのはこれだけです。

決まっているのは、書かないことだけ。

PMPの経験欄に書くのは、プロジェクトが何を生み出したかではありません。そのプロジェクトで、あなたがプロジェクトマネージャーとして何をしたかです。主語がプロジェクトから「私」に変わります。日本の職務経歴書や社内の報告資料は、たいてい主語が案件か組織なので、ここが噛み合いません。

私が講座で教わったのは、次の5つでした。

  • どのようなマネジメント作業をしたかを書く
  • すべてのプロセス群について書く(立ち上げ・計画・実行・監視コントロール・終結)
  • 成果物は書かなくてよい
  • そのプロジェクトの特徴に対して、どんな工夫をしたかを書く
  • 一般的な単語で書く。専門用語は書かない

職務経歴書の常識と真正面からぶつかるのが、3つ目です。成果物を書かなくていい。「1億円規模のシステムを納品しました」は、ここでは主役になりません。納品にたどり着くまでに、あなたが何を決めて、誰と何を調整して、どこを見張っていたか。書くのはそちらです。

「そんなルール、公式のどこに書いてあるんですか」と思ったはずです。もっともな疑問なので、先に答えておきます。書いてありません。そして、書いていないことにこそ意味があります。理由を3つ挙げます。

根拠1:PMIは「どう書くか」を、一度も決めていない

PMIが公開している資料を、順に確かめました。試験の出題範囲を定めた2026年7月版のECO、その前の2021年1月版のECO、そして認定手続き全体を説明したPMI認定ハンドブック。この3つが、申請について書かれた一次資料のほぼすべてです。

どこにも、書き方の指定はありませんでした。文字数の目安もなければ、章立ての指定もなく、例文も付いていません。

代わりに書かれているのは、書いてはいけないもののほうです。

  • 有償の仕事である必要はないが、職業上の場でのことであること
  • 学校の課題、学位のための学術研究、私的なイベントの計画、自宅の改修は対象外
  • 経験はプロジェクトの数ではなく月数で数えること
  • 期間が重なった複数のプロジェクトを、二重に数えないこと

月数の数え方には、公式に例が付いています。1月から3月までのプロジェクトと、2月から5月までのプロジェクトを両方やっていた場合、合計は7か月ではなく5か月です。重なった2月から3月は、一度しか数えられません。忙しかった時期ほど、この落とし穴にはまります。

つまりPMIが管理しているのは、期間と、対象になる仕事かどうか。文章の書き方ではありません。だから独特に見えるのです。型がないのではなく、型はあなたが決めていいということです。

根拠2:2026年の改定で増えたのは、「書いてはいけないもの」だけだった

2026年7月9日に、PMP試験は改定されました。受験資格の区分も、この改定で3つから4つに増えています。

そのとき、経験の書き方についても一文が加わりました。新しいECOには、こう書かれています。

プロジェクトの記載に、定型業務・運用業務・管理事務が含まれていないことを確認してください。

この一文は、2021年版のECOには存在しません。両方のPDFを取り寄せて突き合わせたので、間違いありません。新しく増えたのは、やはり「書いてはいけないもの」のほうでした。

ここが、職務経歴書との決定的な分かれ目です。職務経歴書は「担当業務」を書きます。担当業務には、毎月の定例会も、月次の報告書作成も、勤怠の取りまとめも含まれます。ですがそれらは定型業務であって、プロジェクトのマネジメントではありません。そのまま持ち込むと、経験の記載としては弱くなります。

裏返せば、PMIが求めているものが見えてきます。定型業務でないなら、それはあなたが判断して動かした作業です。講座で教わった「どのようなマネジメント作業をしたか」は、この線引きと同じことを指しています。

そして「すべてのプロセス群について書く」という指導も、ここで意味を持ちます。立ち上げから終結まで一通り書ければ、それはプロジェクトを最初から最後まで回した人の記述になります。逆にどこか一か所だけを厚く書くと、その工程の担当者の記述に見えてしまいます。同じ経験でも、書き方で見え方が変わるということです。

根拠3:読むのは、あなたの業界を知らない人

「一般的な単語で書く。専門用語は書かない」という指導は、最初は少し奇妙に聞こえます。専門用語を使ったほうが、詳しい人が書いた文章に見えそうなものです。

ですが、読む相手を考えると腑に落ちます。あなたの申請書を読むのはPMIであって、あなたの職場の人でも、同じ業界の人でもありません。PMIは世界中の、あらゆる業界から届く申請を、同じ一つのフォームで受け取っています。社内の製品名や、その業界だけで通じる工程名で書かれても、それがマネジメント作業なのかどうかを判断しようがないのです。

ではどの言葉なら通じるのか。それもPMIが公開しています。ECOには、35時間の研修が扱うべき領域として、こんな言葉が並んでいます。

プロジェクトのスコープ、スケジュール、コミュニケーション、リスク、調達、財務、資源、ステークホルダー、統合マネジメント、ガバナンス

これが共通語です。あなたが現場で「仕様調整」と呼んでいた作業はスコープの管理であり、「巻き取り」と呼んでいた作業は資源スケジュールの調整です。呼び方を変えるだけで、業界を知らない人にも判断できる文章になります。

言い換えは、経験を大きく見せるための作業ではありません。すでにやったことに、通じる名前を付け直す作業です。だから、書けることは最初からあなたの中にあります。

経験欄を書き終えたあなたの、少し先の未来

——今までのあなた。フォームを開いては閉じ、他の人の例文を探してブラウザのタブを増やしている。書き始めても3行で止まり、「これで通るのか」が最後まで分からない。締切のない作業なので、今日もまた明日に送る。

——書き方が決まった、これからのあなた。フォームの前で、もう例文は探していません。手元にあるのは、過去のプロジェクトと、そこで自分が決めたことの記憶だけです。

「これは調達の話だな。じゃあ、その言葉で書こう」

少し、私自身の話をします。

私が申請したのは2024年12月でした。英語で書かなければいけないことは知っていましたが、英語で考えながら書くのは無理だと最初から諦めて、まず日本語で書き切ってから、英語に翻訳しました。順番を分けただけで、手は止まらなくなりました。英語ができないことは、ここでは障害になりません。障害になるのは、日本語の段階で何を書くか決まっていないことのほうです。

そして私の申請は、監査には当たりませんでした。PMIは申請の一定割合を無作為に選んで監査すると公表していますが、その割合は公表していません。当たらなかったのは、単に運です。ただ、講座で教わったとおりに書いたおかげで、当たっても困らない状態にはなっていました。書いたことに嘘がなければ、監査は怖い手続きではありません。

今日できること:1つのプロジェクトを、5行に分ける

最後に、いま10分でできることを書きます。

過去のプロジェクトを1つだけ選んで、5行のメモを作ってください。立ち上げ、計画、実行、監視コントロール、終結。この5つを縦に並べて、それぞれに1行ずつ「自分がやったこと」を書きます。日本語で構いません。むしろ日本語で書いてください。

このとき、うまく書こうとしないことです。「誰と何を決めたか」だけを思い出してください。キックオフで体制を決めた。工数を見積もって期間を引いた。遅れた工程を別の人に振り替えた。検収の条件を先方と握った。それで十分です。

1行も書けないプロセス群が出てきたら、それは書き漏らしではなく、思い出せていないだけであることが多いです。当時のメールやチャットを日付順に眺めると、たいてい出てきます。やっていないのではなく、やったことを作業だと認識していなかっただけだからです。

5行そろったら、そこから成果物の話を削ってください。何を納めたか、いくらの案件だったかは、そのままでは要りません。残ったものが、経験欄に書く材料です。

もう一度だけ書いておきます。

決まっているのは、書かないことだけ。

公式が書き方を決めていないというのは、放り出されているという意味ではありません。あなたがやったことを、あなたの言葉で書いていいということです。例文を探す時間を10分だけ削って、白紙に5行だけ引いてください。そのほうが、確実に申請に近づきます。


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参考文献・出典

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