PMPの年収|「17%高い」は、取ったら上がるという意味ではない

PMP・プロジェクトマネジメント

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「PMPを取ったら、年収はいくらになるんだろう」

そう思って検索した人が、最初にぶつかるのは金額のばらつきだと思います。実際に調べてみると、こうです。

440万円。545万円。670万円。896万円。965万円。年収1,000万円も夢じゃない——。

倍以上の開きがあります。どれも「PMPの年収」として書かれているのに、これでは自分がどこに立つのか分かりません。

この記事で書くのは、その数字の読み方です。読み終えたときに、あなたが転職を決めている必要はありません。ただ、ネットの数字に一喜一憂しなくて済むようになります。

なぜ「PMPの年収」は440万から1,000万まで書いてあるのか

理由はシンプルで、出どころが違うからです。

  • 求人サイトに載っている募集時の提示額を集計したもの
  • 転職エージェントに登録した人の、登録時の年収を集計したもの
  • 海外の調査を日本円に換算したもの
  • 出典が書かれていないもの

母集団が違えば数字は変わります。募集時の提示額は上振れしますし、転職エージェントに登録する層は、そもそも転職を考えられる状況にある人たちです。

そして、ここが肝心なところです。

日本には「PMP保持者の年収」を示す公的な統計が存在しません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査は職種別であって、資格別ではないからです。つまり、日本語で流通している「PMPの年収◯◯万円」に、誰もが参照できる正解の数字はありません。

では、まったく手がかりがないのか。1つだけ、発行元がはっきりしている数字があります。

唯一の一次資料は、PMI自身が出している

PMP試験を運営しているPMI(Project Management Institute)が、給与調査を出しています。「Earning Power: Project Management Salary Survey」という報告書で、最新は第14版(2025年12月)です。

調査規模は21か国・14,628人。ここに載っている数字がこれです。

  • PMP保持者の年収中央値は、非保持者より17%高い(21か国全体)
  • 米国のPMP保持者の中央値は135,000ドル。非保持者より24%高い
  • PMP認定から10年を超えた人は173,000ドル、5年未満は123,000ドル
  • PMP保持者の約60%が、この1年で報酬が増えたと回答(うち4分の3は10%までの昇給)

「PMP 年収」で調べると「年収中央値」という言葉が候補に出てきますが、その出どころはこれです。中央値という言い方をしているのは、PMIがそう公表しているからです。

ただし、国別のデータはPMIの会員限定です。無料で見られるのは全体の17%と米国の数字だけで、日本のPMP保持者がいくらもらっているかは、この報告書からも読み取れません。

「17%高い」は、取ったら17%上がるという意味ではない

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

17%という数字は、こういう比較から出ています。

  • PMPを持っている人たちの集団の、年収の中央値
  • 持っていない人たちの集団の、年収の中央値

2つの集団を並べて比べた差です。同じ人がPMPを取る前と後で17%上がった、という調査ではありません。

この違いは小さくありません。PMPを持っている人の集団には、こういう人たちが含まれています。

  • PMPを取ったあとに転職した
  • PMPが評価される業界や会社にいる
  • そもそも年収が高い立場にいて、会社に言われて取った人

つまり17%という差には、「資格を取ったから増えた分」だけでなく「その資格を持った人が、どこにいるか」も混ざっています。PMI自身も、certification(認定)と earning power(稼ぐ力)が associated(関連している)という書き方をしていて、「取れば上がる」とは書いていません。

実際、私の場合はこうでした。

PMPを取っても、私の月給は1円も上がらなかった

2025年の冬にPMPに合格しました。講座費用は自腹で99,000円。35時間の研修は自分で申し込んで、自分で払いました。

合格して、会社から一時金25万円が出ました。ありがたい話です。

ただ、月給は1円も上がりませんでした。

翌月の給与明細を開いても、支給額の欄は先月と同じでした。一時金は口座に一度入って、それきりです。年収という意味では、25万円が1回乗っただけで、次の年には元に戻ります。

理由ははっきりしています。私が勤めていた会社には資格手当という制度がそもそもありませんでした。この話は資格手当がない会社|もらったのは25万円、上がらなかったのは月給に詳しく書きました。

17%どころか、0%です。PMIの数字が嘘なのではありません。私がいた場所が、PMPに値段をつけていなかっただけです。

では、いつ上がったのか。

転職したときです。年収は100万円上がりました。

資格を取った瞬間ではなく、その資格を持って場所を変えたときに、金額が動きました。順番が逆だったわけです。

だから、確認する方法は1つしかない

ここまでをまとめると、こうなります。

  • 日本のPMP保持者の年収に、公的な正解の数字はない
  • PMI公式の17%は、集団と集団の差であって、あなたの伸びしろではない
  • 私の実例では、取っただけでは0円、動いたら100万円だった

つまり、ネットの平均値をいくら眺めても、あなたの年収がいくらになるかは書いていません。書けるはずがないのです。金額は、あなたの経歴と、行き先の求人の組み合わせで決まるからです。

だとすれば、確認する方法は1つです。

転職活動をして、実際にいくらになるのかを教えてもらう。

転職エージェントの面談では、求人を紹介してもらったうえで「この企業ならこのくらいになります」という具体的な金額が出てきます。私のときもそうでした。そしてそこで聞いた額と、実際に決まった額は、ほぼ一致していました。

相談してみて、いまと変わらないなら、いまの会社に残ればいいだけです。転職しない理由が手に入るのも、立派な収穫だと思います。

PMPの値段を知ったあなたの、少し先の未来

——今までのあなた。

「PMP 年収」で検索する。1,000万円と書いてあるページを開いて、少し期待する。次に440万円と書いてあるページを開いて、しぼむ。どれが本当か分からないまま、タブを閉じる。給与明細の数字は、今月も先月と同じ。

——自分の金額を確認した、これからのあなた。

面談で、こう言われます。

「この求人であれば、いまより◯◯万円ほど上がる見込みです」

平均でも中央値でもない、あなたに対して提示された数字です。上がると分かるかもしれませんし、思ったほどではないと分かるかもしれません。どちらでも構いません。数字が出た時点で、あなたは選べる側に立っています。

少し、私自身の話をさせてください。私は資格を取っただけの時期に、ずいぶん長く「この資格、意味あったのかな」と思っていました。実際、月給は動かなかったので、その感覚は間違ってはいませんでした。

けれど無駄だったわけでもありませんでした。転職の面談で、PMPは私の経歴の一部として一緒に運ばれていきました。そして年収は100万円上がりました。資格が働いたのは、取った瞬間ではなく、動いたときです。

「でも、まだ転職する気はない」——そう思うのが普通だと思います。私もそうでした。それでも、いくらになるのかを知ってから決めたほうが、残るにしても納得できます。

今日できること:自分の業界の入口から、金額を聞いてみる

PMPを持つ人の行き先は、業界によって別々です。同じ資格でも、製造業のPMとITのPMでは求人が違います。入口を間違えると、そもそも求人が出てきません。

だから、自分の業界に合うところから確認してください。いずれも相談は無料です。

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どれを選ぶにしても、面談に持っていく質問は1つで足ります。

「この求人だと、私の年収はどうなりますか」

「私の市場価値はいくらですか」と聞くと、答えるほうも一般論しか返せません。求人を1つ挙げて、その求人での金額を聞く。これなら具体的な数字が返ってきます。

PMPの年収は、ネットのどこかに書いてある平均値ではありません。あなたが受け取る、たった1つの数字です。

まずは、聞いてみてください。

参考文献・出典

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