FPの年収|分かれ目は、資格そのものではなく「どこで働くか」だった

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「FPの年収」で検索すると、平均年収の数字がいくつも出てきます。

でも、その数字の出どころを辿ったことはあるでしょうか。多くは求人サイトに掲載された給与の集計です。誰が、どんな働き方で、どの業界にいる人なのか。そこがはっきりしないまま、金額だけが並んでいます。

数字は見つかるのに、自分の話だと思えない。

——実は、そう感じるのには理由があります。国の統計に「FPの年収」というものは、そもそも存在しません。

「資格別の年収」は、国が調べていない

賃金の公的な統計といえば、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」です。毎年公表され、多くの記事が出典にしています。

この調査が労働者について何を調べているか、調査計画に書かれています。

性別/年齢/学歴/勤続年数/経験年数/職種/雇用形態/就業形態

「資格」という項目がありません。

調査の目的も「主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を明らかにする」こと。資格を持っている人と持っていない人を比べる調査ではないのです。

つまり「FPを取ると年収が◯万円上がる」という数字は、公的な統計からは出てきません。ネットで見かける金額は、求人サイトの掲載給与を集めたものか、どこかの推計です。

探しても見つからないのではなく、最初から無い。

解決策:金額を探すのをやめて、「どこにいるか」を見る

では、何も分からないのでしょうか。

そうではありません。FPを持っている人が、どの業界で働いているか。これは公開されています。

そしてこの資格については、金額よりもそちらのほうが役に立ちます。

金額を探すのをやめて、どこにいるかを見る
金額を探すのをやめて、どこにいるかを見る

根拠①:FP保有者の52%は、生保・証券・銀行にいる

日本FP協会が、CFP・AFP認定者の業種別属性を公表しています。2025年5月現在、全国の資格認定者は183,830人です。

業種 比率
生保・損保 21%
証券 19%
事業会社 14%
銀行・金融 12%
学生・主婦・主夫・その他 12%
FP事務所・士業事務所 7%
不動産・住宅 6%
協同組合 5%
官公庁・自治体・団体 4%

生保・損保21%、証券19%、銀行・金融12%。この3つを足すと52%です。FP事務所・士業事務所、不動産・住宅、協同組合まで含めると70%になります。

一方で「学生・主婦・主夫・その他」は12%。

FPというと、家計のために自分で勉強する資格、というイメージがあるかもしれません。データはそう言っていません。過半数は、仕事として持っている人です。

根拠②:50代が34%。新卒で取る資格ではない

同じ調査の年代別を見ると、もう一つ分かることがあります。

年代 比率
50歳代 34%
40歳代 23%
60歳以上 23%
30歳代 14%
10〜20歳代 6%

10〜20歳代は6%しかいません。50代が34%で最も多く、40代以上を合わせると80%です。

就職のために学生が取る資格ではなく、すでに働いている人が、キャリアの途中で取る資格。年代の分布はそう示しています。

40代で取るのは遅い、という話ではないわけです。むしろそこが中心にいます。

根拠③:「どこで働くか」なら、公的統計で分かる

資格別の年収は無い。けれど産業別の賃金なら、賃金構造基本統計調査に載っています。

令和7年の調査から、一般労働者(男女計)の所定内給与額です。

区分 月額
電気・ガス・熱供給・水道業 444.0千円
学術研究,専門・技術サービス業 440.3千円
金融業,保険業 437.0千円
全体(一般労働者・男女計) 340.6千円
製造業 330.0千円
宿泊業,飲食サービス業 277.2千円

金融業,保険業は437.0千円。全体平均の340.6千円より、96.4千円高い。

ここで大事なのは、この差は「FPを持っているから」生まれたものではないということです。産業ごとの賃金水準の差であって、資格の効果ではありません。統計は資格を調べていないのだから、当然です。

それでも、この表は一つのことを教えてくれます。どの業界にいるかという変数は、月に10万円近く動かすことがある。資格の有無を測った統計は無くても、業界の差はこれだけはっきり出ている。

FP保有者の52%が、この437.0千円の業界にいる。並べてみると、見えてくるものがあります。

その先を確かめた、これからのあなた

——今までのあなた。

「FP 年収」で検索して、平均年収の数字を見ては、そっとタブを閉じる。400万円と書いてある記事もあれば、600万円と書いてある記事もある。どちらが本当かも分からないし、どちらにしても自分の給与明細とは関係がない気がする。資格を取れば変わるのか、取っても無駄なのか、結局わからないまま参考書のページに戻る。

——「金額ではなく、どこにいるか」で考えるようになった、これからのあなた。

「なるほど、そもそも国が資格別の年収を調べていないのか」

「じゃあ探しても出てこないはずだ。無い数字を探していたのか」

「持っている人の半分が金融にいる。ということは、この資格が効く場所は決まっているんだな」

調べる先が、金額から業界に変わります。「FPの年収はいくらか」ではなく「自分がいま働いている場所で、この資格は評価されるのか」。問いの形が変わると、答えられる人が変わります。

少し、私自身の話をさせてください。

私がFP3級を取った理由は、お金の知識が欲しかったからでした。年収を上げたいとか、転職したいとか、そういう動機ではありません。自分のお金のことを自分で判断できるようになりたかった。それだけです。

そして、この記事のためにデータを調べて気づきました。私は12%の側の人間だった、ということに。

「学生・主婦・主夫・その他」12%。私の動機は、FP保有者の中では少数派でした。過半数の52%は、仕事として持っている人たちです。

結果はどうだったか。私は金融系ではなかったので、何も変わりませんでした。取得したからといって、手当が出ることもありませんでした。

知識は身につきました。それは目的どおりです。でも収入は動かなかった。動かなかった理由は、資格の価値が低いからではなく、私がその52%の外側にいたからです。

だからこのタイトルになりました。分かれ目は、資格そのものではなく「どこで働くか」だった。

資格を取る前に、確かめる方法がある

もしあなたが、収入も含めてFPを考えているなら。

順番を一つ、変えてみる手があります。資格を取ってから動くのではなく、取る前に確かめる。

具体的には、金融業界に強い転職エージェントに相談することです。「まだ資格を持っていないのに?」と思うかもしれません。ですが相談の場で分かるのは、資格の有無ではなく、いま持っているあなたの経験が、その業界でどう評価されるかです。

そこがはっきりすると、判断できることが増えます。

  • その業界に行くなら、FPは取る価値がある
  • 行かないなら、FPは「お金の知識」として取ればいい。収入とは切り離して考える

どちらに転んでも、勉強を始める前に分かったほうが得です。私は取ってから知りました。順番が逆でも困りはしませんでしたが、先に知っていれば期待の置きどころが違ったとは思います。

FPは、持っている人の半分が金融にいる資格です。その場所に自分が行くのかどうか。それを決めてから参考書を開いても、遅くはありません。

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登録すると、担当者との面談があります。そこで分かるのは求人そのものより、いまのあなたの経験が、その業界でどう評価されるかです。ただし公式サイトは「これまでのご経験とご希望の内容によってはご支援が困難な場合もあります」とも書いています。紹介できる求人が出てこないこともある、ということです。

それでも、出てこなかったという事実そのものが答えになります。その業界に行くならFPは取る価値がある。行かないなら、FPはお金の知識として取ればいい。参考書を買う前に、どちらなのかがはっきりします。私は取ってから知りました。

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参考文献・出典

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