危険物甲種の勉強方法|過去問は周回数で数えない。9問・6問・12問で数える

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「危険物甲種 勉強方法」で検索すると、だいたい同じことが書いてあります。

勉強時間は150〜200時間。テキストを1周してから、過去問を3回転。

間違ってはいません。ただ、この書き方には一つだけ困ったところがあります。3科目をひとまとめに扱っていることです。「テキスト1周」の1周には法令も物理・化学も性質も入っていて、「過去問3回転」の3回転も同じです。

ですが、甲種の合格基準はそうなっていません。科目ごとに60%以上で、足切りが3つ独立しています。合計点で受かる試験ではないのに、勉強のほうだけ合計で管理している。ここがズレています。

先に結論を書きます。過去問は「何周したか」で数えないでください。解くたびに答え合わせを3つに分けて、法令9/15・物理化学6/10・性質12/20 に届いたかどうかだけを見る。届いていない科目にだけ、次の時間を足す。これがこの記事で渡したい勉強方法です。

解決策:周回数ではなく、9問・6問・12問で数える

届いた科目は維持だけ。届いていない科目にだけ、次の時間を配る。

やり方は単純です。過去問や問題集を1回分解いたら、答え合わせのときに点数を3つに分けて書きます。

科目 書き方 合格ライン
危険物に関する法令 □ / 15 9問
物理学及び化学 □ / 10 6問
危険物の性質・火災予防・消火 □ / 20 12問

そして3つとも届いたら申し込む。1つでも届いていなければ、その科目にだけ次の時間を配る。届いている科目は、忘れない程度に触るだけで十分です。

「テキスト1周→過去問3回転」が効きにくいのは、ここです。一律に回すと、すでに届いている科目にも同じ時間が配られます。足切りは3つ独立しているので、その時間は1点にもなりません。

なぜこの数え方になるのか、根拠を3つ出します。

過去問の答え合わせは、3つに分けて書く
過去問の答え合わせは、3つに分けて書く

根拠①:合格基準は合計点ではなく、科目ごとに60%

試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上の方を合格とします。

一般財団法人消防試験研究センターの「試験の方法」に書かれている合格基準です。甲種に当てはめると、必要な正解数はこうなります。

科目 問題数 必要な正解数 1問の重み
危険物に関する法令 15問 9問 約6.7%
物理学及び化学 10問 6問 10%
危険物の性質・火災予防・消火 20問 12問 5%

この表が言っているのは、こういうことです。45問中27問(60%)取れても、物理・化学が5問なら落ちます。法令を15問すべて当てても、その1問は物理・化学に振り替えられません。

そして物理・化学は10問しかないので、1問の重みが10%と最大になります。5問落とした時点で終わりです。他の2科目でどれだけ稼いでも戻せません。だから「合計何点だった」ではなく「6問に届いたか」で見る必要があります。

根拠②:「物理学及び化学」は、大学の物理化学ではなかった

科目名を見て身構える人が多い科目です。乙種は「基礎的な物理学及び基礎的な化学」なのに、甲種はその4文字が外れて「物理学及び化学」になっているからです。

ですが、消防試験研究センターが公開している甲種の出題例を実際に開いてみると、印象が変わります。この科目で問われていたのは、こういうものでした。

  • 物質と、その通常の燃焼形態の組合せ
  • 燃焼についての一般的な説明(点火源、完全燃焼、酸素が不足したときに何が生じるか)
  • 引火性の物質を扱う施設内での帯電防止策——履物、接地、作業服の脱ぎ方まで
  • 二酸化炭素消火剤の性質

大学の教養課程でやるような物理化学ではありません。燃焼・静電気・消火剤——現場で危険物を安全に扱うための化学が中心です。帯電防止の問題にいたっては、ほとんど実務そのものでした。

ここから言えることは2つです。

  • 化学が苦手な人——科目名で身構えなくていい。専門課程の知識を要求されているわけではありません
  • 化学が得意な人——油断もできない。問われているのは学問としての化学ではなく現場の運用なので、化学の学力がそのまま点数にならない場面があります

どちらにしても、科目名から中身を想像するのをやめて、実物を見るのが早いということです。出題例は公式サイトで無料で公開されています。

根拠③:法令は乙4の延長ではない。しかも免除もない

乙4を持っている人が、いちばん貯金が効くと思っているのが法令です。範囲の枠組みは確かに同じで、指定数量、保安距離、定期点検、運搬の基準といった項目が並びます。

ですが、同じ出題例で甲種の法令の第1問を見ると、いきなり第1類から第6類までの「類別・性質・品名」を並べた表から始まっていました。乙4の第1問は、第4類の品名だけです。1問目から前提が違います。

そして、免除もありません。公式のよくある質問に、こう書かれています。

Q16 甲種危険物取扱者試験の際に、試験科目の免除はありますか。/ありません。

乙種には免除があります。乙種免状を持っている人が別の類を受けるときは、法令と物理・化学が全部免除になり、性質10問だけを35分で受けます。この表が実在するので、甲種にもあるものだと思って探してしまう。ですが甲種にその表はありません。45問を2時間30分、丸ごと受けます。

つまり、法令も「乙4を持っているから9問は取れる」と決め打ちできません。だから最初の1回だけは、3科目とも実際に解いて確かめる必要があります。

点数を3つに分けて書いた日から、配る先が決まる

——今までのあなた。

「150〜200時間」という数字を見て、テキストを1ページ目から読み始めた。何周したかは数えているけれど、いま自分がどの科目で落ちるのかは分からない。

——3つに分けて数え始めたあなた。

1回分を解くたびに、法令□/15、物化□/10、性質□/20 と書いている。届いていない科目が1つだけ見えているので、次の時間をどこに配るか迷わない。

少し、私自身の話をさせてください。

私は化学系の出身ですが、あえて乙4を先に受けてから甲種を受けました(その理由はいきなり受けていいかの記事に書いています)。化学の下地はあったので、物理・化学はいちばん安心していた科目です。ですが甲種の出題例を見返すといま思うのは、あそこで問われていたのは化学の学力ではなく、現場での扱い方だったということです。得意不得意は、科目名では決まりませんでした。

「結局どれくらいやればいいのか分からない」と思われたかもしれません。総量は、正直に言えば人によって違います。でも配る先は、今日決められます。3つのうち、自分が危ないのはどれか。それだけ分かれば、次の1時間の置き場所は決まります。

今日できること:答え合わせを3つに分けて書く

最後に、今日からできることを書きます。

  1. 問題集を1冊決めてください。甲種は主役が問題集で、テキストは引く本です(→テキストの記事
  2. 1回分を解いたら、答え合わせを3つに分けて書いてください。法令□/15、物理化学□/10、性質□/20。合計点は書かなくて構いません
  3. 9・6・12 に届いていない科目にだけ、次の時間を配ってください。届いた科目は、忘れない程度に触るだけ
  4. 3つとも届いたら、申し込んでください。

まだ問題集を持っていないなら、初日にやることが1つあります。消防試験研究センターが公開している甲種の出題例を開いて、3科目を2〜3問ずつ解いてみてください。無料です。どこで手が止まるかが、その日のうちに分かります。最初の1時間を配る先が決まります。

性質の20問をどう覚えるかは、難易度と勉強時間の記事で「類ごとにざっくり→個別」の2段階に分けて書きました。届いていないのがそこだったなら、次に読むのはその記事です。

参考文献・出典

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