危険物乙4の物理化学|暗記で6問に届く。計算の1問は、落としていい

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危険物乙4の参考書はもう買った。物理化学のページも開いた。範囲がどれくらいあるかも見えている。それなのに「これで受かるのか」だけが分からなくて、手が止まっていませんか。

その状態でいくらページをめくっても、自信は増えません。足りているかどうかを判定する物差しを、参考書が持っていないからです。この記事では、化学系大学出身で乙4を取り、その後甲種まで取った実体験と、消防試験研究センターが公開している一次資料をもとに、その物差しの見つけ方をお伝えします。

参考書は買った。それでも「これで受かるのか」が分からない

物理化学に不安がある人は、たいてい参考書を買ったあとで検索しています。何が出るかはもう分かっている。引火点、燃焼、静電気、状態変化——項目も並んでいる。ボリュームだって、ページ数を見れば見当がつきます。

それでも不安が消えないのは、「何が出るか」と「どこまでできれば受かるか」が別のことだからです。参考書は前者しか教えてくれません。

だから、こうなります。1周した。用語も何となく覚えた。でも模擬問題で間違えるたびに「まだ足りないのかもしれない」と思う。終わりの位置が分からないので、何周しても「もう大丈夫」と言えない。

これは覚えた量の問題ではありません。採点基準を知らないまま、自分で自分を採点しようとしていることの問題です。

物理化学は、解けるようにする科目ではなく、知っているかを確かめる科目
物理化学は、解けるようにする科目ではなく、知っているかを確かめる科目

解決策:暗記で6問に届く。計算の1問は、落としていい

物理化学は、解けるようにする科目ではなく、知っているかを確かめる科目です。公開されている実物を数えると、計算して答えを出す必要があった問題は10問中1問だけでした。残りは覚えているかどうかで決まります。合格に必要なのは6問なので、計算の1問を最初から捨てても、なお届きます。

「化学」という科目名から、多くの人が「理解して、解けるようにならないといけない」と身構えます。ですが、実際に問われているのはそこではありません。

この違いは、勉強のやり方をまるごと変えます。解けるようにする勉強は、終わりがありません。理解には上限がないからです。一方、覚えているかを確かめる勉強には終わりがあります。覚えているか、覚えていないか。確かめれば、その場で分かります。

そもそも、あの10問は何を聞いているのか

「暗記でいい」と言われても、中身が見えないと信じようがありません。消防試験研究センターは、過去に出題された問題を実際に公開しています。2026年8月時点で公開されている乙種第4類の1セットから、物理化学の10問がどんな聞き方をしていたかを並べます。

  • 燃焼が起こらない組合せはどれか(ヘリウムが混ざっている)
  • 「燃焼とは、熱と光の発生を伴う◯◯反応」の穴埋め
  • 引火する液体の最低温度を何というか
  • 気体の消火剤の説明で誤っているものはどれか
  • 自然発火の機構(分解・吸着・酸化)の組合せ
  • 静電気の説明で誤っているものはどれか
  • プロパンの生成熱を求めよ(唯一の計算)
  • 単体であるものはどれか(水・硫黄・二酸化炭素・灯油・塩化ナトリウム)
  • 有機化合物と官能基の組合せで誤っているものはどれか
  • 物質の状態変化の説明で誤っているものはどれか

並べてみると、性質が見えてきます。「引火点とは何か」「単体とは何か」は、化学の実力ではなく言葉を知っているかどうかです。状態変化にいたっては中学理科の範囲です。前半の5問はほとんどが燃焼と消火の話で、化学というより危険物そのものの話をしています。

計算して答えを出す必要があったのは、生成熱の1問だけでした。

ここで一つ正直に言っておきます。これは公開されている1セットを数えた結果です。別の回では計算が2問かもしれません。ですから、この記事を読んだあとにやってほしいのは「私の数え方を信じること」ではなく、あなた自身が同じことをやって数えることです。方法は最後に書きます。

暗記で届くと言える3つの根拠

根拠①:ゴールは10問中6問。落とせるのは4問まで

危険物取扱者試験の合格基準は、試験案内にこう書かれています。「試験科目ごとの正答率がそれぞれ60%以上必要です」。

科目ごと、というのが重要です。総合点ではありません。物理化学は10問なので、6問を正解する必要があります。裏を返せば、落としていいのは4問まで。

この数字が出た瞬間に、終わりの位置が決まります。「全部わかるまで」ではなく「6問」。そして計算の1問を捨てても、まだ3問の余裕が残ります。

なお、同じ足切りは法令にもかかっていて、そちらは15問中9問です。乙4で本当に手強いのがどこかについては、危険物乙4の難易度|本当の壁は化学じゃなく法令だったで詳しく書いています。

根拠②:上限も法令が決めている。甲種の科目名には「基礎的な」が付かない

試験案内で科目名を並べると、こうなっています。

  • 甲種=「物理学及び化学」(10問)
  • 乙種=「基礎的な物理学及び基礎的な化学」(10問)
  • 丙種=「燃焼及び消火に関する基礎知識」(5問)

同じ10問でも、甲種と乙種で名前が違います。乙種にだけ「基礎的な」が二度も付いていて、甲種には付いていない。丙種にいたっては「化学」という言葉自体が消え、「燃焼及び消火」に置き換わります。

これは飾りではありません。法令が、同じ分野の中で難易度を三段階に分け、その区別を科目名そのものに書き込んでいるということです。乙4の勉強で甲種レベルの化学に手を出す必要はない、と法令の側が先に宣言してくれています。

ちなみに甲種の物理化学に「基礎的な」が付かない理由は、範囲が第1類から第6類までの全類に広がることと無関係ではありません。そちらの中身は危険物甲種の難易度と勉強時間|壁は「全類の性質暗記」、覚える順番で崩せるにまとめています。

根拠③:法令は物理化学を「問い直さない土台」として扱っている

試験科目の免除の規定に、この科目の位置づけがはっきり出ています。

乙種の免状を1種類でも持っている人が、別の類(第1類〜第6類)を受けるとき、「法令」と「物化」は全部免除になります。35問だった試験は10問になり、試験時間は35分になります。そして残るのは「性消」——危険物の性質と火災予防・消火の10問だけです。

類が変われば、扱う危険物は変わります。だから性質の科目は毎回問われます。ところが物理化学は問われません。法令はこの科目を、類が変わっても問い直す必要のない共通の土台として扱っているということです。

ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。これは合格して免状の交付を受けた人が、次に別の類を受けるときの話です。乙4に落ちた人が受け直すときには、免除は一切ありません。「一度落ちても次は免除される」ということではありません。

ただし、捨てられるのは4問までです

ここまでを読んで「苦手な分野はまるごと捨てればいい」と受け取ってしまうと、算数が合わなくなります。

合格に6問が必要なので、5問を捨てた時点で、残り5問を全問正解しても届きません。不合格が確定します。科目ごとの足切りがあるかぎり、「物理化学は捨てて他で稼ぐ」も成立しません。

捨てていいのは、あくまで4問まで。計算の1問を捨てるのは、その枠の中に十分おさまります。そこが「捨てる戦略」と「暗記で6問に届く」の違いです。

自分の点数を数えられるようになった、少し先のあなた

——今までのあなた。参考書を1周して、2周目に入って、それでも「これで受かるのか」が分からない。模擬問題で間違えるたびに、まだ足りないような気がする。ページをめくる手は動いているのに、不安だけが減らない。

——公開されている10問で自分を採点するようになった、これからのあなた。参考書を閉じて、10問を解いて、丸をつける。「7問。今日の時点で届いてる」。あるいは「4問。あと2問だ。間違えたのは自然発火と官能基だから、そこだけ見直そう」。不安が、数字と場所に変わっています。

少し、私自身の話をさせてください。私は化学系の大学を出ていて、乙4の物理化学では特に迷いませんでした。ただ、あとから振り返って気づいたことがあります。あのとき使ったのは「解く力」ではなく、「覚えていた知識」でした。高校や大学で習った内容を覚えていたから答えられた、というだけのことです。難しい化学を現場で組み立てたわけではありません。

つまり、あの10問を通過するのに必要だったのは、化学ができることではなく、知っているかどうかでした。だから、覚えることで届きます。

「でも、本番は違う問題が出るでしょう」と思うかもしれません。そのとおりです。だからこそ点数そのものより、数えられる状態を手に入れることのほうが大事です。物差しさえ持っていれば、本番までの間、何度でも自分を測り直せます。

今日できること:参考書を閉じて、公開されている10問を解く

今日やることは1つです。消防試験研究センターが公開している「過去に出題された問題(乙種第4類)」を開き、物理化学の10問だけを解いて、何問取れたかを数えてください。解答は同じ資料の最後に載っています。

解く前に参考書を見直す必要はありません。今の状態を測るのが目的だからです。

  • 6問以上=今日の時点で合格ラインに届いています。物理化学に時間をかけすぎないでください
  • 4〜5問=あと1〜2問です。間違えた項目だけを参考書で引き直せば足ります
  • 3問以下=範囲を絞る前に、用語の定義から埋めてください。「引火点とは」「単体とは」で落としているなら、伸びしろはそこにあります

もし解いてみて、参考書のどこを引けばいいか分からなかったなら、参考書のほうが合っていない可能性があります。テキストは通読する本ではなく引く本として選ぶ、という考え方は危険物甲種のテキスト|主役は問題集、テキストは引く本に書きました。甲種の記事ですが、選び方の原則は乙4でも同じです。

そもそもどの本を買うかで迷っているなら、危険物乙4のテキスト|中身の良し悪しは読むまで分からない。買う前に分かるのは2つだけで、乙4のテキストについて買う前に確かめられる基準だけを整理しました。

自信は、ページ数を増やしても出てきません。自信は、自分の点数を自分で言えるようになったときに出てきます。その物差しは、今日、無料で手に入ります。

参考文献・出典

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