生成AIパスポートは何点で受かる?|分かれ目は、捨てる章を計算できないこと

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「生成AIパスポート 何点」で検索すると、一緒に出てくる言葉が並びます。何点合格、何点以上、何割。

気持ちは分かります。受験料は11,000円。試験は2月・4月・6月・8月・10月の年5回しかないので、落ちれば次は最短でも2か月後です。どこまでやれば足りるのか、先に知っておきたい。

検索すると「合格ラインは7割が目安」と書いてある記事が見つかります。それを見て、こう考えた人も多いはずです。——過去問か予想問題を解いて、7割に届かない分野を潰していけばいい。

資格試験の勉強としては、まったく正しい考え方です。ただ、この試験ではその手が使えません。

理由を、公式の記述だけで説明します。

「7割目安」にも、「苦手分野を潰す」にも、足場がない

試験を運営している一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)は、よくある質問でこう答えています。

合格ラインを教えてもらえますか?
合否に関する基準点や採点の詳細については開示しておりません。ご了承ください。

合格ラインが非公開なのは、まあ、よくあることです。問題はその先にあります。

過去問がありません。自分の点数も返ってきません。そして、どの問題を間違えたのかも教えてもらえません。

——つまり「苦手分野を潰す」の、苦手分野を特定する手段がない。

解決策:過去問を探すのをやめて、シラバスの「詳細キーワード」を1語ずつ潰す

やることは、これだけです。

  1. 公式サイトからシラバスのPDFをダウンロードする(無料・全7ページ)
  2. いちばん右の「詳細キーワード」の列を、上から順に読む
  3. 見ないで1行で説明できない語に、印をつける
  4. 印のついた語を、テキストで調べて消していく

終わりの判定も一つだけです。印が全部消えたら終わり。

なぜ問題演習ではなくこれなのか。この試験では、シラバスの詳細キーワード欄が、事実上の出題語彙リストとして公開されているからです。そして、それ以外に自分の穴を測る材料が用意されていません。

根拠を3つ出します。

過去問を探すのをやめて、シラバスのキーワードを潰す
過去問を探すのをやめて、シラバスのキーワードを潰す

根拠①:公式が出しているのは「合格率」だけ。点数も、正解・不正解も出ない

GUGAは試験のたびに開催結果を発表しています。その2023年・2024年の発表文に、こう書かれています。

なお、総合得点率や設問別の正解・不正解、本試験の合格ラインなどは開示しておりませんので、あらかじめご了承ください。

3つ並んでいます。総合得点率——自分が何割取れたか。設問別の正解・不正解——どこを間違えたか。そして合格ライン。どれも出さない、と書いてあります。

2つ目が効いてきます。受験しても、自分の弱点は分かりません。不合格通知を見ても、法律のところで落としたのか、技術用語で落としたのかが永遠に分かりません。

よくある質問の文言は、途中で1文増えています。

時点 よくある質問の答え
2024年12月 「開示しておりません。ご了承ください。」の1文だけ
2025年6月〜現在 上の1文+「試験ごとに全受験者の得点を集計、分析した結果が合否通知メールに記載されます。」

ただし、よく読んでください。「全受験者の得点を集計、分析した結果」です。あなたの得点だとは書いていません。そのうえ「※メール内の記載内容については、試験ごとに変更される場合がございます」と添えられています。期待しないほうが安全です。

一方で、合格率だけは毎回きちんと公表されています。第1回から、2026年9月3日時点で公表されている全10回を並べます。

試験 受験者数 合格者数 合格率
2023年 第1回 1,031 760 73.71%
2024年 第1回 1,613 1,211 75.08%
2024年 第2回 2,985 2,351 78.76%
2024年 第3回 3,733 2,828 75.76%
2025年2月 6,590 5,104 77.45%
2025年6月 10,759 8,300 77.14%
2025年10月 26,230 20,529 78.27%
2026年2月 28,415 22,401 78.84%
2026年4月 9,436 7,487 79.35%
2026年6月 21,752 17,380 79.90%

受験者数は1,031名から28,415名まで、約28倍に振れています。それでも合格率は73.71%から79.90%、振れ幅は6.19ポイントしかありません。

この表から言えるのは、ここまでです。だいたい8割が受かる試験だ。でも、何点で受かるのかは1回も出ていない。

「合格率が安定しているのは相対評価だからでは」と思うかもしれません。そう書いてある記事もありますが、公式は採点方式について一言も説明していません。私にも分かりません。分からないものを分かったことにすると、勉強の設計が狂います。

根拠②:過去問は「まだ無い」のではなく、出回らない仕組みになっている

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

GUGAが公開している問題は、サンプル問題3問だけです。PDFで74KB、A4で1枚。過去問集は公式からも市販でも出ていません。

そして、これは「まだ整備されていない」という話ではありません。受験者が問題を持ち出すことが、禁止事項で明示的に禁じられています。

・試験問題 / 解答を書き写したり、画像に残すなどにより試験問題の内容を外部に持ち出す行為は禁止です。
・試験内容を録音、録画、スクリーンショット、ライブ配信等により記録する行為
試験終了後にSNS、掲示板等へ問題内容を投稿する行為

違反したときの措置も書かれています。受験無効・資格剥奪・今後の受験停止措置。

つまり、こういう構造です。

  • 公式は過去問を出さない
  • 受験者が持ち出すことも禁止されている
  • だから「本物の問題」は3問しか世の中に存在しない

検索すると「予想問題」「模擬問題」を載せているサイトが見つかりますが、それらは公式の過去問ではなく、シラバスから誰かが作ったものです。作った人も、本試験の問題は見ていません。

公式が用意している演習の材料は、正確には3つです。

材料 公式の説明
サンプル問題 四肢択一式の例題3問(PDF・無料)
公式テキスト 第4版 「試験問題の出題範囲すべてを網羅しているGUGA監修の公式テキスト」。電子1,782円/製本1,980円(税込)
AIクイズアプリ(LINE) 公式テキストをAIに学習させて◯✕クイズを生成。ただし公式が「ランダムでの出題のため、シラバスを網羅できることを保証しておりません」「生成AIの特性上、出力される結果が正確ではない場合があります」と明記

3つ目の注記は、そのまま読んでください。公式の学習ツールが、自分で「網羅は保証しない」と言っています。穴を埋める道具であって、穴を見つける道具ではありません。

根拠③:章ごとの出題数も非公表。だから「捨てる章」を計算できない

それなら「よく出る章を厚くやろう」と考えるのが自然です。その計算も、できません。

同じ「IT系の入門資格」でも、点数の扱いはまったく違います。国家試験のITパスポートと並べます。

ITパスポート(IPA) 生成AIパスポート(GUGA)
合格基準 総合600点以上/1,000点、かつ分野別も各300点以上 非開示
出題数の内訳 ストラテジ系35問程度/マネジメント系20問程度/テクノロジ系45問程度 章ごとの出題数は非公表
採点方式 IRT(項目応答理論)と明記 非開示
採点されない問題 100問中8問は今後出題する問題の評価用、と明記 記載なし

IPAは、採点していない8問の存在まで書いています。ここまで出ていれば設計ができます。実際、ITパスポートの勉強時間の記事では、この公表された出題数の比率から時間配分を組み立てました。

生成AIパスポートのシラバスは全7ページですが、配点も、章別の出題数も、どこにも書いてありません。

だから、こうなります。

「第5章のプロンプトは仕事で使っているから飛ばして、第1章のAIの歴史に時間を使おう」
——この判断が正しいかどうかを、確かめる方法がない。

配分を計算できない試験で配分を決めるのは、勘で賭けるのと同じです。だから捨てない。捨てないなら、全部のキーワードを一度は通る。それが解決策の中身です。

シラバスの5章と、そこに並んでいる言葉

では実際に何を潰すのか。公式シラバスの5章です。

中身
第1章 AI(人工知能) AIの定義/AIに知能をもたらす仕組み/AIの種類/AIの歴史/シンギュラリティ
第2章 生成AI 生成AIの誕生まで/ChatGPT/その他の主要生成AI
第3章 現在の生成AIの動向 生成AIが出来ることと主なサービス/ディープフェイク/RAGAIエージェント
第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 インターネットリテラシー/セキュリティとプライバシー/個人情報保護/制作物に関わる権利/AI社会原則とガイドライン/AI新法
第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例 LMとLLM/プロンプティングの基礎/実践/ビジネス応用/テキスト生成AIの不得意なこと

そして、いちばん右の列に用語が並んでいます。粒度が伝わるように、第4章の「制作物に関わる権利」の欄をそのまま引きます。

知的財産権、著作権、特許権、商標権、意匠権、肖像権、パブリシティ権、不正競争防止法、営業秘密、限定提供データ、著作権侵害、名誉毀損、生成物

1つの欄で13語です。全体では、私が数えたときはおよそ200語ありました(PDFの表組みの都合で、数え方によって数語前後します)。

1日20語なら10日です。「7割」という数字を探すより、よほど終わりが見えます。

読むときの判定は、1つだけにしてください。

この言葉を、見ないで1行で説明できるか。

「パブリシティ権って、肖像権と何が違うんだっけ」と詰まったら、そこが穴です。問題を解かなくても、穴は見つかります。

2026年から増えた3つを、先に確認してください

もう一つ、いま特に危ないところがあります。

シラバスは2025年10月1日に改訂され、2026年2月試験から適用されています。PDFの最終ページに改訂表があり、足されたものが分かります。

  • 第2章——GPT-o1/o3/o4、GPT-4.1、GPT-5、Sora、Operator、Codex、Image Generation、Gemini、Claude、Copilot
  • 第3章——RAG(とは・歴史・仕組み・ユースケース)、AIエージェント(とは・仕組み・ツール事例・MCPと外部連携)
  • 第4章——AI新法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律/2025年6月4日公布)、AI事業者ガイドラインの第1.1版への更新

2025年より前に作られた教材を使っていると、この3つが丸ごと抜けます。そして——ここまで読んだ方は、もう分かると思います。

点数も、設問別の正解・不正解も返ってこないので、抜けていたことに気づけません。

だから買う前に1つだけ確認してください。その教材は、2026年2月試験以降のシラバスに対応しているか。公式テキストなら第4版が2026年の2・4・6・8・10月試験向けです。

Amazonで買えるのは電子書籍版(Kindle)です。製本版はGUGAの公式ショップと楽天Koboでも扱っています。


生成AIパスポート公式テキスト 第4版(一般社団法人生成AI活用普及協会)

キーワードに線を引くようになった、これからのあなた

——今までのあなた。

検索窓に「生成AIパスポート 過去問」と打ち込む。出てくるのは予想問題ばかりで、どれが本物に近いのか分からない。20問ほど解いて15問正解して、「7割だから大丈夫かな」と思う。その20問がどこから来たのかは、確かめていない。

「あと何点だろう。あと何割だろう」

——シラバスのキーワードを潰すようになった、これからのあなた。

印刷したシラバスが机にある。第1章から第3章までは、ほとんどの語に線が引かれている。残っているのは第4章の法律まわりと、第5章のプロンプト技法がいくつか。

「AI新法、まだ説明できないな。今日はここだ」

やることが毎日はっきりしています。点数の目標がないぶん、迷う時間がありません。

そして試験の日。60問を解き終えて、終了ボタンを押す。手ごたえは正直よく分かりません。でも、印の残っている語はもうない。それが分かっているだけで、翌月の通知を待つ1か月の気分は、まったく違います。

数えるのは点数ではなく、言葉の数

最初の問いに戻ります。過去問なり予想問題を解いて、苦手分野を潰せばいいのか。

答えは、こうです。

その方法が使える試験と、使えない試験があります。生成AIパスポートは後者です。過去問が3問しか存在せず、受けても自分の間違いは返ってこない。苦手分野を「解いて見つける」ことができません。

だから、解く前に見つけます。公式が無料で配っているシラバスのPDFを開いて、右端の列を上から読み、説明できない言葉に印をつける。それが、この試験でできる唯一の自己診断です。

「7割取れば受かる」と書いてある記事を読んだとき、こう思い出してください。その7割は、どこから来た数字だろう。公式は、10回の試験で一度もその数字を出していません。

数えるのは点数ではなく、説明できない言葉の数です。その数がゼロになったら、それがあなたにとっての合格ラインです。

ちなみに「そもそも取る意味があるのか」で迷っているなら、先に意味があるかを求人票から確かめた記事を読んでからでも遅くありません。11,000円を払う前に決めておくほうが、勉強も進みます。

G検定やITパスポートと迷っているなら、3つを公式の数字で並べた記事もあります。受ける順番の決め方まで書きました。

なお、この試験は自宅で受けるIBT方式です。当日の受験環境には公式の条件があり、机の上に置けるものまで決まっています。申し込んだら、自宅受験で何が見られているかをまとめた記事も一度読んでおいてください。

参考文献・出典

  • 一般社団法人生成AI活用普及協会「よくある質問」(合格ラインの非開示・結果発表時期。2026年9月3日閲覧) https://guga.or.jp/qa/
  • 一般社団法人生成AI活用普及協会「生成AIパスポート」試験概要(60分60問・四肢択一式・禁止事項・公式テキスト・AIクイズアプリ・年間スケジュール。2026年9月3日閲覧) https://guga.or.jp/outline/
  • 一般社団法人生成AI活用普及協会「生成AIパスポート試験 サンプル問題」(例題3問) https://guga.or.jp/assets/sample.pdf
  • 一般社団法人生成AI活用普及協会「生成AIパスポート試験シラバス」(2026年2月試験より適用/詳細キーワード欄・改訂内容一覧を含む) https://guga.or.jp/assets/syllabus.pdf
  • 一般社団法人生成AI活用普及協会「2023年 第1回 生成AIパスポート試験の開催結果を発表」(総合得点率・設問別の正解不正解・合格ラインの非開示) https://guga.or.jp/2023-11-13/
  • 一般社団法人生成AI活用普及協会 各回の開催結果発表(受験者数・合格者数・合格率/2023年第1回〜2026年6月試験の全10回) https://guga.or.jp/news/
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験 試験内容・出題範囲」(合格基準・出題数・IRT・採点対象外の8問。2026年9月3日閲覧) https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
  • Internet Archive Wayback Machine「よくある質問」旧版(2024年12月9日および2025年6月25日の保存版を比較) https://web.archive.org/web/20241209080012/https://guga.or.jp/qa/

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